いつか来るどこかで


1



桜の花が舞い散る。
今日はみんなの、卒業式。
私は一人先に北高を後にしていたけどSOS団の活動は今日まで続いていた。
 
でもそれも今日でおしまい。
涼宮さんの能力は完全に消え去っていた。
これから先、この時間軸を観察する必要を未来はもう見出だしていなかった。
卒業式を終えたみんなを見つけた私は、三人のもとに急いだ。
  
「みくるちゃーん!こっちよ!早く早く!」
「朝比奈さん、来てくれてありがとうございます。」
「お久しぶりです、朝比奈さん。」
「……久しぶり。」
 
明るい笑顔で彼の、キョン君の隣にいる涼宮さんには観察を始めた当初の憂鬱な陰はない。

とても楽しそう、いいえ。
幸せそうだった。
…これから言うんですね、きっと。
「みんな、ちゅうもーくっ!」


涼宮さんはいつも通りの、でもこれが最後になる号令をした。

「これから重大発表をしまーすっ!」
「お、おいハルヒ…。」

あ、キョン君が少し照れてますね。
…そんな顔初めて見ました。


……くやしいな。


でも…。



「あたしとキョン、結婚するから!」


「は…え、ええっ?!そうなんですか??!!」
古泉君は一番素直に驚いてました。
彼の属する機関は、もうほとんど解散に近い状態だったから、
この肝心な情報も得てなかったんですね。

「…祝福する。」
長門さんは当然知ってたんでしょうね。
だって情報統合思念体のインターフェースですから。
でも長門さんはいずれ…。

「あは…びっくりしました!!おめでとうございます!涼宮さん、キョン君!」
私はとても上手に笑って、二人におめでとうを言いました。
だって、これだけは最初から知っていた彼らの未来の情報だったから。


「ありがとう、みんな!!」
「…サンキュ。」


二人はとても幸せそうに笑った。桜の中で。


そして、私はこの時代の二人と、みんなと永遠のお別れをした。


「私」はこれから帰ります。


あなたのところへ。


####




卒業式から、1ヵ月。
俺たちは早すぎる入籍をしていた。
結婚式はもう少し先だ。

こいつと…ハルヒと結婚すること自体は、特に異論はない。
…俺だってハルヒの事…ちゃんと…その…。

愛してる、つもりだから。
くそっ、似合わねえ!

だが、高校卒業と同時に結婚するなんて考えてもいなかった。
勿論発案はハルヒだ。他に誰がいる。
俺と結婚したいからとっととする、とそれが理由らしい。
こんな事(嬉しかったけど)言うハルヒもハルヒだが、それを許すハルヒの両親…義父さんや義母さんもどうかと思う。
流石ハルヒの両親ともいえるが…。

俺の両親は、ハルヒとハルヒの両親に押されなしくずしで了解した形だった。
…親子の遺伝がモロに出てるなあと感じたのは無理もないだろう。

とはいえ、当然収入のない学生結婚のため当座は俺が通い婿となる。
オレの家にはまだ中1の妹がいるわけだし。それが妥当だろうというところだった。

だが、こいつのためにもちゃんとした社会人にならないと。
そう思いながら、これからの大学生活と…結婚生活に不安と期待を抱えていた。


そんな日が続く中、朝比奈さんから手紙が来た。

「結婚式、みくるちゃん来れないんですって。
 …残念ね…。今度会った時はすっごい格好させてあげるんだから!!」

「お前な…そろそろ朝比奈さんにコスプレ強制すんのやめとけよ。」

「嫌よ!だってみくるちゃんのアイデンティティじゃない!!」

「勝手に決めんなよ;」

他愛のない事をいいながら、朝比奈さんの欠席は俺も残念に感じていた。
きっと未来で忙しい日々を送っているのだろう。
あの朝比奈さん(大)に成長するために。



俺は、そんな風に軽く考えていた。


その時は。



                               To be Continued…



こちらもどうやら1話目完成です。
ちゃんと続くといいなー。

結構シリアスになります。最終的にはみくキョンです。たぶん…;;

読んでくださった方、ありがとうございました!!
またこちらも続きがんばりますー。


戻る